2017/02
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<連載> 世界の中の日本語を考えてみる <5 「漢字仮名交じり文」という大発明 >
conf ferrer haiku 023 世界の中の日本語 440pc

いま私のもとで日本語を学んでいる外国人で中・上級のレベルの学生は、漢字を筆順から正確に学び、部首を初めとする漢字構成要素の意味や音を分析しながら身につけている。

「外国人なんかに日本語が分かるわけがない」と高をくくっていると、そのうち不勉強な日本人は赤っ恥をかくことになるだろう。

 

例えば「これは彼の独<壇>場だ」(正しくは<擅>セン)とか「病膏<盲>に入る」(正しくは<肓>コウ)のような間違いは、手偏を土偏と、肉月を目と早合点したものがそのまま俗用してしまった例だが、日本人が自らの母語である日本語の誤字・誤用に無神経のままでいれば、外国語としての日本語・漢字を根本的・体系的に勉強している外国人にその無知を指摘される日もそう遠くないだろう。

 

かつて、漢字に造詣の深いベルギー人の言語学者グローター氏が、日本でのある会議で「<ゆううつ>を漢字で書いてみてください」と請われたことがあった。氏はすぐさま黒板にすらすらと書いて、聴衆の拍手喝采を浴びたそうだ。逆に日本人が外国人に試されても狼狽せずにいたいものだ。

 

四世紀末から五世紀初めにかけて、漢字・漢文は百済を通して日本に伝えられた。それ以来、漢字は日本語の土台的な要素として組み込まれ、千五百年の間に完全に日本人の精神に深く根付いてしまっている。日本人が初めて出会った文字が漢字であり、それを漢語と共に「薬籠中の物」にしたのである。

 

したがって、いまさら漢字を中国の文字として排除することは、我々日本人の血肉を引き裂くに等しい。漢字はすでに日本人のアイデンディティとして心の奥深くに息づいているのである。しかも日本人は漢字から仮名を編み出し、「漢字仮名交じり文」という今日の表記法を確立した。これは日本語が日本語であり得る所以となる大発明であった。ここに至って、もはや漢字は中国の文字とは「似て非なる物」と見たほうが日本語の文字体系を考える上で誤解が少ないだろう。


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tag : 漢字仮名交じり文 漢字 漢語

 
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