2017/02
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日本語教育のために(その四)<日本語教師は職業として成り立っているのか?>
D001018-R1-30-27A (1) 日本語教育のために(その四)440pc 

 日本国内では日本語教育という分野は未だに職業として成り立っていない印象を受けます。とりわけ日本にあるいわゆる日本語学校で日々奮闘している日本語教師の皆さんの立場は、この20数年、ほとんど変わっていないように見受けられます。

それはなぜなのか。私がかつて日本国内の日本語教師の方あるいは日本語教師になろうとしている方と遣り取りした会話の一部をアップしてみました。これからの日本語教育がより良い方向に進むことを願っています。


 

<日本国内の日本語教師の方々との会話>


こんにちは、
Aさん。

日本国内の日本語教師の状況はかなり厳しいことが窺われますが、その状況を日本語教師自らが変えようという動きはないのでしょうか?

 

どうもよく分からないのは、日本国内における職業としての日本語教師と日本語ボランティアとの関係です。日本語ボランティア(という語があるのか分かりませんが)の存在が職業としての日本語教師の仕事と競合することはないのでしょうか?

 

もし競合して、そのために職業としての日本語教師の待遇面で大きな障害になっているとしたら、プロ側から「まずはボランティア」などと日本語学習を考えている人にアドバイスすることは自分たちで自分たちの首を絞めていることに・・・・どうもよく分からないのです。

 

> 私自身、これから日本語教師になろうという人にはなにもかもを捨ててこの世界に飛び込むことはオススメしません。

> むしろ、今の状況をなるべく温存してどうやってじわじわと入り込むかというのを考えたほうが、リスクも少ないと思います。

> そういういみで、他のかたがたも「まずはボランティア」とおっしゃっているのでしょう。 

> 上記のような現実的な計算(年収など)については、ずっと目をつぶってきました。でも、専任になると、一応は正社員扱いになります。でも、給与額は「一般事務」並みです。ありえません。

> でも、だからといって、やめてしまうとなると今までのことが無駄になりそうだし・・・。ああ、やっぱりひとまずはつっぱしるしかないのかと思います。

> 仕事帰りに、そんなことを考えて、「私がもし、男だったら絶対さっさとあきらめている職業だろうな」なんて思ったりしたら、ちょっと泣きそうになりました。

> 以上、愚痴でした。すみません。(笑)


 

こんにちは。

大学進学のために日本語を勉強する学習者を受け入れているのが日本国内の日本語学校だとすると、これは私がヨーロッパでイメージする「普通の語学学校」とは役割が違うものですね。言わば時代の偶然が生んだ特需のような印象です。

 

日本へ進学に来る学習者(のみ?)を対象にすれば、自ずと学習者は限られる(欧米からの進学者はあまり期待できないでしょう)し、将来的にも継続して学習者を確保するのは難しいのではないかと、思えます。

 

語学は進学する人たちのためだけではなく、生活会話や趣味など動機が何であろうと、それを必要とする人たち全体のためだろうと思います。

<日本人と結婚した外国人主婦など、生活のための日常会話を勉強しにきている>…こういう人たちのためにこそプロが要る。

基本的にはまず、このことを考えなければ永続的な職業としては成り立ちにくいのでは。

在ヨーロッパの眼で見るとこうなりますね。余計なお世話かもしれませんが。

 

 

こんにちは。

語学教師という観点からすると、日本国内の日本語教師はかなり特殊な情況にある、という印象があります。少なくとも、他の言語の語学教師と同等の待遇を得るように(英語教師と日本語教師ではかなり報酬が違うと聞いています)、教師自身が動く必要がありますね。待っていてもここ20年変わっていないようですから。

プロの日本語教師と日本語ボランティアとの棲み分けなども、曖昧にしておかないほうが将来のためにもいいと思うのです。

 

どうやって動いたら…、他のどんなことも同じですが、まずは自分自身から動かないと。

 

>  国内日本語学校の広告を雑誌などで見ると、日本の大学進学のための学習者以外に、ビジネスマンや、その他の人対象のプライベートレッスンのコースもあります、と書いてあるものも、時々見かけますが、そういう学習者を含めても、国内の学習者の数は限られてしまうかもしれません。

> > 語学は進学する人たちのためだけではなく、生活会話や趣味など動機が何であろうと、それを必要とする人たち全体のためだろうと思います。

> > <日本人と結婚した外国人主婦など、生活のための日常会話を勉強しにきている>…こういう人たちのためにこそプロが要る。

> > 基本的にはまず、このことを考えなければ永続的な職業としては成り立ちにくいのでは。

>   こういう人たちのためにこそ、プロが必要では?と私も思いますが、何年たっても、あいかわらず日本国内では、そういう人たちへの日本語支援といえば、「ボランティアが無料で教えている「ボランティア」教室で習うものだ」という風潮があるような気がします。(予算がない自治体がボランティアを募集し任せている。)

>  ボランティアだけに任せておいていいんだろうか?と思い、有料の個人レッスンを始めようと思ったのですが、生徒が集められず断念しました。(営業努力が足りなかったのかもしれませんが、全くコネがないと、なかなか難しいです。)

 

 

こんにちは。

>プロというのは少しでも高い報酬が得られるよう努力すべきだと思います。自分個人の問題としてだけでなく、すべての日本語教師の生活を向上させ、また、それによって教育に専念できるような環境をつくっていくためにです。>

 

ごく当たり前の話ですが、日本国内の日本語教師の間では、なかなかこうした話はしにくくなっているのでしょうね。

 

自分の仕事の対価を安売りすべきではない、ですね。私のところにも時々、無料で良いから授業をさせてほしい、と言ってくる人がいるのですが、困った現象です。

 

「ユニオン」の話ですが、いきなりそこへ持っていかなくても、まず日本語教師の現状を変えるために自分が「動く」ことを厭わない人たち(少なくても必ずいるはずです)と小さな教師会を作ってみたらどうでしょうか。私は海外ですが、15年前に地元地域の日本語教師会結成に携わり、いま、国レベルの教師会(まだないのです)結成へ情況が動きつつあります。まずは、自分が動かなければ何も始まらない…これですね。

 

> こんにちは。

>  国内、海外をとわず、こういう状況は、かつてのマルクスの窮乏化論を想起させます。すなわち、労働市場における安売り競争がおこっているのですね、われわれの業界では。労働問題一般において、かつて、それを解決したのが、ほかでもない労働組合であったということを考えれば、われわれ日本語教師の問題を解決するのも、結局は、ユニオンでしかないと思います。かつて、そうした動きもあったように思いますが、うまくいかなかったのでしょうかね。たしかに、企業内(学校内)のユニオンではなく、日本語教師を横につなぐユニオンとなると、いろいろ難しいと思います。どういう活動をしていくかということもさることながら、作ったところで加盟者が少ないというのでは意味がないですしね。お金の話をすると意地汚いように捉えられるような場合もありますが、プロというのは少しでも高い報酬が得られるよう努力すべきだと思います。自分個人の問題としてだけでなく、すべての日本語教師の生活を向上させ、また、それによって教育に専念できるような環境をつくっていくためにです。そのような運動を展開する上で、忙しい時間を割いて、各教師が手を携えていくことはできないものなのでしょうか。

> 

 

こんにちは。

ご本人はもう冷静に考えていると言うことですが、蛇足をひとつ。

 

「日本語教師になる」というのは、この職業の現在の状況から考えると、言わば「詩人になる」とか「絵描きになる」と言うのに似ているかもしれませんね。

 

つまり、芸術家(日本語教師)としての才能や技術があってもそれで生活していける、という保証はどこにもない。「才能・技術」プラス「マネージメント」プラス「運」(プラスetc.?)を必要とされるわけですから、大変なことは大変です。もっとも必要なのは、それでもその道を歩む「覚悟」でしょうか。

 

この「覚悟」を携えた人が今、世界中で日本語教育の土台作りをしている、と想像することは、私たちの大いなる励みになりますね。

 

 

> みなさん、ご意見ありがとうございます。

 

> 日本語学校に勤めることだけが教師活動ではありませんよね。

> もう少し現状をがんばりながら、違う角度から「日本語教師」にアプローチすることを考えたいと思います。

> 「ココに日本語教師が一人います」と手を上げてみるところから始めます。

> そしていつかは少しでも収入が得られるようになりたいと思います。

 

 長い間続いてきた「西欧先進諸国」からの情報を有り難がるだけの「一方的な国際化」ではなく、互いの文化・言語に敬意を払い対等の立場で情報を交換する「真の国際化」が進み、国際社会での「外国語としての日本語教育」がこれから益々その重要度を増すことは間違いない、と私は思っています。しかし、日本語教師はまだ新参者の職業であるだけに、特に日本国内でのこの職業への評価は無知と誤解から免れていないようです。

日本語教師という職業が正当な評価を得るには、我々現場の教師自身のプロとしての意識やレベルを上げることはもちろん大事ですが、我々の仕事の環境を整備することが必要不可欠ではないかと考えています。日本語教育に対する日本社会の認識不足が日本語教師の低報酬の遠因になっているのかもしれませんが、やはり日本語教育の担当行政に、日本語教師という職業の重要性とその環境整備の緊急性を訴え、改善へ具体的に動いてもらうことが必要だと感じています。

私がこのフォーラムを通して日本語教師や日本語教育に関心を持つ人たちの「国際連絡会」の結成を呼び掛けようと思ったのは、日本語教師の給与が「安くても仕方ない」という意識が日本語教師の間で蔓延していくことへの危惧からでした。報酬がすべてとは言いませんが、正当に評価されるプロとしての誇りも又、諸外国の日本語学習者に臆せず日本語・日本文化を伝えるこの職業には欠かせない要素と考えるからです。

日本語教育の現状が緊急に環境改善を必要とするのは明確な事実で、我々前線を張っている者が声を集結し行政に働きかけ、更に我々も日本語教育全体のレベルアップのために労を惜しまない、という関係を作っていくことができたら、このフォーラムは画期的な役割を果たすことになるはずです。


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tag : 日本語教育のために 日本語学校 職業

 
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Re: これが20年の現状です
とある日本語教師様

コメントありがとうございます。
海外の日本語教師会でも意識は変わらないですね。講師として招聘される有名学者先生の中には日本語教育の現場に立ったことのない人や日本語教育とは直接関係のない人もいます。現場で頑張っている先生方が中心にならないと日本語教育は職業として未来は危ういですね。


これが20年の現状です
この20年、日本語の分野で大学院を目指し、学者になっていく方が増えました。しかし彼らは、日本語教師の地位、安月給の環境など、就労状況を改善しようとした努力をほとんどしてこなかったと思います。
いまだ、
ボランティアがすること
日本人なら誰でも教えられる
といった思考がぬぐえていない。いったい何を研究していたのか!
と叫びたくなります。
頭でっかちばかりで本当にムカツキます。


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