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日本語を考える(その三)
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日本語を教えている中で気づいたことをここでは8題アップします。

①「てつだう」の不規則連濁?について

 かなり前から気になっていたのですが、普通、連濁の定義は「後の語の初めの清音

が濁音になる」ですが「手伝う」は「てづたう」ではなく「てつだう」と発音します。

 この「手伝う」の「不規則連濁」(?)については忘れていたのですが、他の掲示板でこの疑問が出されていたのを機に、改めて考えてみました。

「天伝う」は日にかかる枕詞(天伝ふ)で、大野晋氏は岩波古語辞典の「天伝ひ」の項で上代特殊仮名遣いから「あまつたひ」(amatutafi)としています。一方、同じマ行から「つたう」が続く「百伝ふ」(枕詞)は「ももづたふ」(momodutafu)としています。

このことから私は、「~つたう」は連濁するものとしないもの(あるいはどちらでもいいもの)があると考えてみました。

手伝う」は初めは連濁しなかった(=てつたう)と仮定して、以下の推測を試みてみます。

関西方言では「手伝って」を「てっとうて」と濁らずに言うこともあるそうですから、漢字の意味から離れて、「て+つたう」の音の組を変え「てつ+たう」と考えてみるのもいいかもしれません。

(1)「てつ+たい」→「てったい(撤退)」。「てつ+つい」→「てっつい(鉄槌)」「てつ+てい」→「てってい(徹底)」。「てつ+とう」→「てっとう(鉄塔)」

などの例には、「て+つ+T音」の間の「つ」が促音化する傾向が見られます。

一方、

(2)「てつだい(鉄代)」「てつどう(鉄道)」

のように「D」音の前は「つ」を促音化しないで発音しています。

つまり、促音化を避け、「つ」をきちんと発音しようとすると「つ」のあとの「T」音は「D」音へ濁音化する傾向を類推してみたくなります。

手伝う」がなぜ連濁の規則に沿って「てづたう」とならないか、上記のように考えてみましたが、まだ推測の域を出ていません。

 

 

②「重たい」の「たい」

 「重たい」「眠たい」の「たい」は、<名詞・動詞連用形に付けて形容詞をつくる接尾語>だと考えていいと思います。この「たい」は文語「いたし」(痛し・甚し)から来ているようで、「心身に甚(はなは)だしく感じる」意味を加える働きを持っています。

つまり、「重い」よりも「重たい」のほうが<目方が多くかかってくる心身の感じ>をよく表現できる語感を示しているわけです。荷物を手に持ったときは「重たい」のほうが、量りにかけたときは客観的な重さですから「重い」のほうが、それぞれ感じが出ますね。

 語源的に見ると、「おも(「重」あるいは「重し」)+いたし→重たい」「ねぶり+いたし→眠たい」「め(愛)で+いたし→めでたい」「「つめ(爪?)+いた(痛)し→冷たい」「やぼ(野暮)+いたし→やぼったい」「ひら(平)+いたし→ひら(べっ)たい」「くすぐ(擽)り+いたし→くすぐったい」「けむ(煙)り+いたし→けむたい」と推測できます。

 

 

ローマ字表記についての疑問(1)

 私はローマ字表記についての疑問を以前から持っていましたので、皆さんのご意見を伺いたいと思います。まず疑問を持ったきっかけを申しますと、私のところへ来る日本語学習者で独学や他の学校である程度学習してきた人の「を」の発音が「WO」になっていることが目立つことに気がついたからです。

もちろん「を」の前の音の影響によって自然に「
WO」に近くなったり、歌の場合、歌唱法として「WO」と発音するのは問題ないと思いますが、日本語の五十音図の音節の発音としては「お」も「を」も「O」のはずです。平安中期までは「を」は「お」と区別されて「WO」と発音されていたようですが、現在では音節発音上の両者の区別はないと理解しています。

これは「日本式」ローマ字綴り方、あるいはパソコン等のローマ字入力で「を」は「
WO」で入力するようになっていることが影響しているのではないか、と私は想像しています。私は現在のローマ字表記の不統一さは早急に解決しなければならない問題だと思っています。

ご存知のようにローマ字綴り方には「標準式
(俗に「ヘボン式」とも言う)」「日本式」さらに両者を併せて認めた「訓令式」があり、この不統一から来る日本語教育への混乱は容易に予想できるし、それは現在すでに現れてきていると思われます。一つだけ例を挙げて問題提起をしておきたいと思います。

<私は富士山を知っています。>
(1)Watasi wa huzisan wo sitte imasu.(日本式) (2)Watashi wa fujisan o shitte imasu.(標準式)(1)(2)とも発音を意識したローマ字表記です。次に「かな文字」を意識したローマ字表記を示します。 (3)Watasi ha huzisan wo sitte imasu.(日本式) (4)Watashi ha fujisan o(wo) shitte imasu.(標準式)もし日本のローマ字綴りが日本語の本来の発音に近いものを示す役割を持つものならば、上の中では(2)になると私は考えますが、皆さんはどう思われるでしょうか。

 

ローマ字表記についての疑問(2)

 日本語教師としては、日本語学習者にはできるだけ早くローマ字に頼らない学習に入ることを薦めます。ただ問題は、日本に興味を持つ外国人のうち実際に日本語教師の指導のもとで勉強しているのは、ほんの数パーセントというのが現状ではないでしょうか。しかも「ローマ字の綴り方」は室町末期以来、日本社会に少なからぬ影響を与え続け、日本の初等教育の学校現場でも正式に教えられていることを考えると放っておけない面があります。

日本の初等教育では「日本式」を基として教えられ、実社会では英語の発音の知識から「標準式」を基として慣用を優先して使用されている、というのが私の認識ですが、最近ではパソコンなどのローマ字入力の影響で「日本式」(
si,ti,tu,zi,woなど)が慣用として広まっているように思います。現に「を」の発音を「wo」と思い込んで教えていた日本語教師を私は一人ならず知っています。私が危惧しているのは単に「を」が「wo」と発音されるようになる(つまり平安中期以前に戻る)ことだけではなく、日本あるいは日本人が「外国語としての日本語」を想定してそれに対してきちんと準備して来なかった「つけ」を、さらに先送りすることになってしまうのではないかということです。

具体的にいうと「ローマ字の綴り方」について昭和
29年に国語審議会が答申したものを内閣訓令・告示として公布された「訓令式ローマ字綴方」(「日本式」を主とし「標準式」{shi,chi,ji.など}も使用できるとしたもの)の影響を「外国語としての日本語教育」の現場が受け続けていることへの危惧です。私は長い間日本を離れているので、現状認識が違っていたら訂正願います。

 

 

素敵について

素敵」については私も以前調べたことがあるのですが、漢字は当て字です。「素的」あるいは「素適」と書く人もいます。問題なのはこの語源です。私が調べたときは、結局「語源未詳」でした。以下に幾つかの語源説を挙げておきますが、これは、肩書きの有無、専門家か否かを問わず、国語学者、日本語学者、語源学者を含めてこの問題に知恵を出して頂きたいものです。

<語源説1>「素晴らしい」の「す」に「的」がついたもの。<語源説2>「すってんきゅう」(「すってん」は「すってんころり」「すってんてん」に通じるか?「きゅう」は胸が締め付けられる気持ち?)が「すってんき」-「すてき」となった。<語源説3>「出来過ぎ」が引っ繰り返り、「すぎでき」-「すでき」-「すてき」となった。「すてき」は江戸時代の滑稽本「浮世床」「浮世風呂」などでその使用例が見られるが、私としては<語源説3>の引っ繰り返り説が、江戸時代の遊び心が感じられて面白いと思っています。でも、いずれの説も仮説の域を出ていなく、今のところ「語源未詳」ということになりそうです。

 

⑥「二十日」「二十歳」について(1)

二十日」「二十歳」の読み方についてNHKのアナウンス室に問い合わせていたのですが、デスク氏からその返答が届きましたので報告します。≪「二十日」は「はつか」と読むのが普通です。「にじゅうにち」とは言いません。「二十歳」は、通常「はたち」と読みますが、事件、事故で年齢を言う場合などは「にじゅっさい」と発音することもあります。≫以上が返答の全文ですが、私はさらに<ⅰ>≪「にじゅっさい」と発音される時のひらがな表記は「にじっさい」が正しいのか「にじゅっさい」も許容されるのか≫②≪「二十日」「二十歳」に見られるように11以上では20だけに今日でも特別に和語が使われるのは何か理由・云われがあるのか≫の二点について質問をしましたが、これらについてはまだ返答が届いていません。

<ⅰ>については、字音仮名遣い「十(ジフ)」「執(シフ)」「入(ニフ)」→現代仮名遣い「ジュウ、ジッ(十手)」「シュウ、シッ(執権)」「ニュウ、ニッ(入声ニッショウ)」からすれば、「にじゅっさい」よりも「にじっさい」が自然だと思われ、実際、手元の漢和辞典(角川新字源)で「十」を引いてみても「ジュッ」の読みはありません。それでも「十分」「十本」のように日常よく使われる語は「ジュウ」に引かれた「ジュップン」「ジュッポン」の読みが優勢かと思います。

そこで私の質問は「ひらがな表記」としてどう落ち着かせるか、ということでした。現代日本語の仮名遣いは必ずしも純粋な表音式仮名遣いではない、というのが私の認識で、助詞の「は」「へ」などだけでなく、実際の発音と表記にずれがあるのは言語の歴史的性格上むしろ自然ではないだろうか、と考えています。現代日本人に身近な外国語である英語を見ると、この点で日本語は何と論理的な表記を持っているかとさえ気付かされます。<ⅱ>については、言葉と結びついている文化・慣習への興味です。

 

⑦「二十日」「二十歳」について(1)

私の「二十」についての興味は≪「二十日」「二十歳」に見られるように数字の11以上で20だけが現在でも和語が普通に使われていることに何か文化的・慣習的理由があるのかもしれない≫ということでした。日本語学習者に言葉の背景にある日本の文化・慣習を説明することが彼らにとって深く日本語に触れることになる、と思うからです。日本にいる国語・日本語の専門家にも尋ねてみましたが、まだ返答はありません。「はつか」に関して私が注目しているのは、例えば「二十日恵比寿」「二十日灸」「二十日正月」「二十日正月」「二十日月」「二十日団子」「二十日盆」「二十日宵闇」などの陰暦二十日にまつわる表現です。つまり、日本では古来「二十日」が重要な意味を持っているのかもしれない、ということです。

「はたち」に関しては上記の「二十日の重要性の影響」に加えて更に、『伊勢物語』(九)の「比叡の山を二十ばかり…」と『源氏物語』(宿木)の「年は二十ばかりに…」のくだりの内容が気になっていますが、海外にいる身で今、手許にこれらの内容を確かめる本がありません。「はたち」という読みが「事件・事故の時のニュースで読まれない」という
NHKデスク氏の言と、現行の日本の成年が二十歳であることと併せて、「二十歳」に関しての私の推測は、「はたち」という読みには何らかの「祝い」の意味が絡んでいるのかもしれない、ということです。それで『伊勢』と『源氏』の関係箇所を確かめたいと思っているのです。これらは飽くまでも私の推測の域を出ていませんから、何かおわかりの方はお知らせ下さい。

 

⑧「」の字はなぜ悪いイメージに使われるか?

日本で私が勤めていた高校に山という苗字の同僚がいましたが、彼はある日「<>という字はあまり良い意味で使われないんだ。<入(はい)り><取り><流し><横領><横柄><横暴><横恋慕>etc.…とね。」と嘆いていました。

 

 確かに、他にも<横車を押す><下手の横好き><横道にそれる><横槍(やり)を入れる>などの「横」の付く慣用表現が思い浮かびます。古くは<横言(よこごと:人を中傷する言葉)>という言葉もあり、「邪悪」の意味の<邪(よこしま)>も<横様(よこさま)>から来たらしい。「讒言(ざんげん)」の<讒>の字も<讒(よこ)す>と読み「事実を曲げて悪く言う」意味を表した。これも<横す>から来たようです。

 漢字の「横」は「木」と「黄」(「火の矢」をかたどったもの→黄色)の部分に分けられるが、ここから「横」全体で「閂(かんぬき)」の意味となったらしい。

また、「黄」の字に着目してみると、「黄屋」(こうおく:天子の車)「黄閣」(こうかく:漢代、宰相のいる役所)「黄堂」(こうどう:太守のいる役所)「黄袍」(こうほう:黄色の上衣。隋以後、天子の上服)「黄門」(こうもん:宮中の門。天子の侍従職。中納言の唐名…日本の徳川光圀が水戸「黄門」と称されたのは彼が中納言であったから)などの表現から、「黄色」が古代の中国で「天子の色」として尊ばれたことが分かります。

 このことから、「横」の字が「かんぬき」の意味を持った事情には、「門に塗られた黄色」に関係したものだということが推測できます。

さて、その漢字「横」がなぜ悪いイメージに使われるようになったかと言うと、「かんぬき→前に横たわるもの→行く先を妨げ、さえぎるもの→邪悪なもの」と意味の拡大が行われた経緯が考えられます。

 一方、和語の側面から「よこ」を観てみると、「避(よ)く」(よける、さける)と同根で、「平面上の中心から外れた所。(→縦に対しての水平。脇)→わざと中心を外す→真実を避ける→故意の不正。邪悪」と意味が拡大していったらしい。

こうして見ると、漢字「横」と和語「よこ」は共に似たような「悪いイメージ」を持っていますが、意味の拡大経緯においてそれぞれの性格が見られる(漢字「横」は<物質的>、和語「よこ」は<心理的>)なのは、なかなか興味深く、初めに挙げた和漢双方の<「横」「よこ」のついた表現>が違和感なく共存することになったのは、意外と偶然の結果なのかもしれません。



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tag : ローマ字表記 手伝う 二十歳 二十日 素敵

 
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