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日本語のエッセンス(25)【へ】は滅びゆく運命か?「東京(へ/に/を)行く」を考える



(*写真: みやげもの売り場は、世界の人気者の中で日本のドラえもんも頑張っていた)


日本語のエッセンス(25)【】は滅びゆく運命か?「東京(//)行く」考える

 

「東京【】行く」

より

「東京【】行く」

と言う人の方が多い。

 

】は方向示す「矢印」そのものと考えれば良い。イメージで言うと、矢印の出発点の端から三角形の尖った先、着点までの全部である。

 

「今から東京【】行く」

と言えば、彼はまだ矢印の出発点居る。

「東京【】行ったら、会おうね」

と言えば、彼はまだ東京着いていないが、東京指す矢印の末端、着点イメージしながら言っている。

 

矢印のどの部分イメージして言っても良いのが格助詞【へ】の強みである。いや、強みであった、と言ったほうがいいのかもしれない。【へ】の強みが現代の日本語活かされているとは言いにくいからだ。【へ】は滅びゆく運命なのか?

 

と言うのは、最初に言ったように、今は

「東京【へ】行く」より「東京【に】行く」

と言う人のほうが圧倒的に多くなっているからである。

 

【に】が着点をピンポイントで指すのに対して、【へ】はつい「矢印」全体を表してしまう人の良さ(助詞の良さ?)がある。そこで、【へ】を体現する「矢印」の末端にある「三角形の尖った先」の一点は【に】の指すピンポイントと重なるように見える。

 

「東京【へ】行く」でも「東京【に】行く」でも違和感を感じないのは、【へ】と【に】の領域が重なっているように見えるからである。しかし、厳密に言えば【へ】は出発点から着点「辺り」(【へ】の語源は「辺」)までの経過を含めた「矢印」全体、すなわち「方向」を暗示するのに対して、【に】は、ひたすら「着点」のみをマークすることに生きがいを求める求道者的なところがある。

 

「東京【へ】行く」と言えば、意識的無意識的に関わらず、「東京方面を指す矢印全体」の「方向」性を常に暗示している。一方、「東京【に】行く」と言えば、話者の頭の中ではすでに「着点」に着いている自分がイメージされている。せっかちな現代人に受け入れられる所以である。

 

さて、たとえ見かけ上であっても交換可能な一点もある格助詞【へ】【に】に対して、もう一つの領域を指す格助詞【を】はまったくスケールの大きな性格を持つ。今取り上げようとしている【を】は自動詞をとり、他動詞の対象を指す目的格の【を】とは区別する。

 

「東京【へ】行く」「東京【に】行く」と「東京【を】行く」

では明らかに意味が違ってくる。【に】はピンポイントの「着点」だけを示すから、もちろんのことだが、移動・経過のイメージを持つ【へ】とも大きな違いがある。

 

「東京【を】行く」

と言えば、東京という地域の全部を「移動の経路」として視野に入れて「行く」のである。東京という範囲の中で自由な方向に自由な軌跡を描いて「行く」イメージをこの【を】は、さり気無く示す。融通無碍な移動を「面」、時には「空間」のレベルで受け入れる【を】の前では、矢印が指す「終着点への方向」のみを「線」で指定する【へ】は一本気な堅物にさえ見えてくる。

 

「東京【を】歩く」は通過「面」、

「空【を】飛ぶ」は通過「空間」、

「角【を】曲がる」は通過「点」。

助詞【を】は、前の相手(東京、空、角)が大きくても小さくても立合いに変化をつけてきても、まったく動じない、横綱相撲をとる。

 

これらは取り口は違っても、皆「移動の経路」を示す【を】である。

 

ちなみに、この「移動の経路」が極端に短い場合は、その場所からの「離脱」になる。その経路を通して移動するイメージは同じである。

 

それが「離脱の【を】」と呼ばれるものである。

「部屋【を】出る」

「バス【を】降りる」

「学校【を】卒業する」

の【を】である。

 

最後に、もう一度、「へ、に、を」の問題でもっとも興味深い問い、【へ】は滅びゆく運命なのか? と問うてみる。

 

どっこい、【へ】には【に】も、そして【を】さえもできない芸当を持っている。

それは格助詞「の」の前に付いて名詞にかかるワザである。

 

「東京【に】到着する」→×「東京【にの】到着」

「東京【を】散策する」→×「東京【をの】散策」

 

このように、今をときめく個性派【に】も、「が」と並んで格助詞の横綱の貫禄さえ漂う【を】も、格助詞「の」の前に付くことは不可能なのだ。だが、

 

「東京【へ】出発する」→〇「東京【への】出発」

のように、今日では存在感が薄くなったように見える【へ】は、堂々と【への】の形をつくり、名詞にかかることができるのである。その上、

 

「東京【に】到着する」→〇「東京【への】到着」

のように、【に】の領分まで引き受けているのだから、先の問い「【へ】は滅びゆく運命なのか?」への返答は、

 

――とんでもない、【へ】は滅びゆくどころか、たぶん永遠に不滅です――



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