2017/07
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日本語のエッセンス(22)「日本語教育」から「日本語【の】教育」へ

(*写真: 日本語学習者の書き込み。こうしたメモの積み重ねが、ある日教師を感嘆させる日本語表現者へと)


日本語のエッセンス(22)「日本語教育」から「日本語【の】教育」へ

 

いわゆる「日本語教育」の中に四半世紀以上身を置き、活動して来た。バルセロナの地で日本語センターを設立し、日本語教師会の立ち上げにも奔走し、日本語教育のシンポジウムがあると聞けばヨーロッパに限らず、カナダや日本にも飛んだ。

 

この四半世紀の間、日本語教育は一向に変わらない。相も変わらず西欧語を土台とした言語学の一種を有り難そうに奉る研修会。「国語」教育とは違う、という錦の御旗を掲げて日本語の歴史そのものと距離を置き、ゲンゴ学の新しい理論のようなものに翻弄される。

 

日本語を教えるハウツウだけを求め、IT技術に走る教師や教師志望者が目立つ。その結果、日本語そのものとは掛け離れた「お友達探し」と「優雅なプチ旅行」が目的の研修会参加になる。

 

お小遣い稼ぎでいいから本気で労働組合を作る雰囲気はまるでない世界だ。そもそも日本語教師をプロフェッショナルな職業として考えもしない人が多いのではないか。

 

自己紹介には日本語教師の「卵です」「新人です」と言う。2、3年やってもっと稼ぎのあるアルバイトがあると辞めてしまうから、そう言っていれば、この仕事を卒業できるわけである。

 

教えられる側の日本語学習者にとっては、教師が新人だろうが経験豊富だろうが、関係ない。プロとして自分が払った対価に見合う仕事をちゃんとしてくれるかどうか、が大切だ。

 

日本語を教えることをプロの職業とするには、その視点と思考範囲を日本語教育」から「日本語【の】教育」へ広げるべきである。

 

過去四半世紀変わらなかった「日本語教育」が今後の四半世紀の間に変わると、誰が言えるだろうか。「日本語教育」という狭く閉じられた世界に固執していては、「日本語」そのものも、「教育」そのものも見えなくなる。

 

日本語教育の研修会の講師に「有名」な研究者を呼んで目新しいゲンゴ学の理論を聞かせて頂いて「目からウロコ」と有り難がるのも、もう卒業すべきだろう。

 

日本語教育のシンポジウムや研修会では名の知れた、ある講師が私にそっと耳打ちしてくれた…「じつは私は日本語教育とは直接関係ないんです。もちろん教壇に立った経験もないんです」。

研修会では実際の日本語学習者を対象にした公開授業が中心にならなければならない。

 

日本語教師は未だ職業として自立していない。日本語教育には労働者を守る組織がない。労働組合のない職種が職業として成り立つわけがない。日本語教育の経営者、雇い主はいつでも自分の恣意で労働者、つまり日本語教師として雇われた人をお払い箱にできる。こんな業界に仕事としての成熟は期待できないし、アルバイト感覚の者しか入って来ない。

 

さて、では「日本語【の】教育」とは何か。「日本語教育」「国語教育」「日本語の社会的教育」をすべて包括した視点で日本語を見直す作業を指す。

 

「日本語教育」と「言語としての国語教育」のそれぞれの利点を通わせ、さらに「日本社会による日本語の教育」を交差させる視点である。

 

「日本語教育」と「国語教育」の交差はおよそ想像できるだろうから、ここでは「日本語の社会的教育」の観点について、さらっと述べたい。

 

日本人は日本語に非常に興味があることは、日本語に関する本でベストセラーになったものが多いことでも分かる。だが、学校で「世界の中の一言語としての日本語」を教えないから、母語である日本語について誤った使い方をしても、表現そのものを知らなかったりする。

 

だから、テレビで人気芸人が使う言葉や言い回しにすぐ影響される。テレビのテロップの間違いもそのまま信じてしまう。ネットの無記名の「日本語解説」を鵜呑みにする日本語教師も出て来る。

 

まだ成熟途上にあるネットの情報はせいぜい40%しか信じてはいけないことぐらい、心得ていて欲しい。ましてや教師である。「日本語」も「教育」もない「日本語教育」とはなんぞや。

 

「日本社会による日本語教育」について一つだけ具体的な指摘をしておきたい。

テレビでの発言にテロップが流れるのが当たり前になってきたが、テレビのテロップに句読点(丸と点)を付けないことに、賛成できない。

 

年少者や日本語学習者に、これでいいんだ、と思わせる。タイトルや歌詞はふつう句読点がなくてもいいが、文章には句読点はときに表現の重要な役割を示すことを思い出して欲しい。

 

テロップに誤りも多すぎる。テロップ作成者の質、日本語の専門家としての日本語の熟知度を上げる仕組みをテレビ界はしなければならない。これは「日本語【の】教育」における日本社会の新たな問題点である。




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