新しい記事を書く事で広告が消せます。

<連載>サンティアゴ巡礼2014年独吟36句「27日目の句」
朝靄(あさもや)の
間に見ゆ村に
笑顔咲き
夜明け前、まだ暗いうちから歩き出し、いつ終わるか分からない野中の1本道を、黙々と歩き続ける巡礼者たち。
やがて、朝日が顔を覗かせ、何もかもオレンジ色に染め、巡礼者たちの疲労も限界を迎えそうになる頃、小径の前方、その山並みの彼方に、目指す村が朝靄の切れ間から薄っすらと姿を見せた時、誰からとも言わず、顔を見合わせ、聖道のあちこちに笑顔が咲く。
顔知る者も知らぬ者も、みんな満面の笑顔で声を掛け合う。「見えたぞ!」
今朝は暗いうちからEl Aceboのアルベルゲを発ち、ほどなく昨日教えてもらった四国巡礼の展示場の文化会館に着いた。まだ閉まっていたので、開場の時間まで30分ほど近くを散策し戻ってくると、昨日のアルベルゲに居たマドリードのレストランシェフもやって来て、一緒に四国巡礼の展示を楽しむことにした。
会場である文化会館に入ると「四国八十八箇所霊場」の文字が目立つのぼりや写真などがところ狭しと展示されていた。係りのスペイン女性にいろいろ聞き、日本の四国巡礼路との交流が深まっていることを知り、なんだかとても嬉しくなった。そう言えば、さっき周辺を散歩した際、四国巡礼の関係者らしき名前を刻んだ友好の記念碑が、まだ新しい光を放って建っていた。
ともに長い歴史を誇る巡礼路だが、その在り方は趣を異にしている。サンティアゴ巡礼路は世界中から巡礼者が集まり、それも「歩き」巡礼がほとんどだ。一方、四国巡礼路は国内の団体巡礼が目立ち、バスや車で廻って御印書を集めることが目的の巡礼者が多く感じられる。
私は日本に帰国した際に四国巡礼を少しずつ歩いているが、「歩き」巡礼者のための道の整備が、サンティアゴ巡礼路に比べて見劣りする、と率直に感じた。
巡礼者をもてなす「お接待」にしても、日本人ならではの人情だと思いがちだが、日本とは文化も宗教も違うサンティアゴ巡礼路での「お接待」は、公平に見ても大したものだと、思う。
四国巡礼路でも地元の方が自宅に招いてくれて甘い物でもてなしてくれたりして、有り難かったが、サンティアゴ巡礼路で感心したのは、宿泊施設を安価提供や巡礼者の任意の寄付で泊まらせてくれる、という形での地元行政の援助、あるいは、外国人も含めた巡礼経験者たちの私的ボランティアの屋台が難所で巡礼者をもてなしてくれたり、言わば公私ともにボランティア精神が根付いていることに感心したのである。
サンティアゴ巡礼路は世界遺産に認定されている。四国巡礼路の方も、サンティアゴ巡礼路の良いところを積極的に取り入れて、まず若者たちを、そして海外からも大勢参加してもらえるように工夫していけば、世界に認められる巡礼路になり得ると思う。宗教は異なるが東西を代表する巡礼路として両方とも、さらに世界の人々に感銘を与える存在であってほしい、と願いつつ、展示を楽しんだ。
この四国遍路の展示会場を後にして、Riego de Ambrós、Molinaseca、Campo、Ponferrada、Columbrianos、Fuentes Nuevas、Camponaraya、Cacabelosを歩き抜け、14時頃
本日の宿泊予定地Villafranca del Bierzoのアルベルゲに到着した。
サンティアゴまで残り186.4km。


















旅の荷物を次の宿泊地まで届けてくれるサービスもあるんだ!











<↓クリックすると関係ブログが見られます>



- 関連記事
-
- <連載>サンティアゴ巡礼2014年独吟36句「30日目の句」 (2015/05/18)
- <連載>サンティアゴ巡礼2014年独吟36句「28日目の句」 (2015/04/11)
- <連載>サンティアゴ巡礼2014年独吟36句「27日目の句」 (2015/03/31)
- <連載>サンティアゴ巡礼2014年独吟36句「26日目の句」 (2015/03/17)
- <連載>サンティアゴ巡礼2014年独吟36句「25日目の句」 (2015/03/07)